どうして梅雨っていうの?

2025年6月13日更新

こんにちは、東京都世田谷の変圧器・トランスの設計・製造・販売の「富士見電機製作所」スタッフです。

今週6月10日(火)、気象庁は関東甲信地方と北陸地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。

関東地方は平年より3日遅く、北陸地方は1日早い、昨年よりは関東地方では11日、北陸地方で12日早い梅雨入りのようです。

日本に住んでいる私たちにとって、六月から七月にかけての長雨の季節、梅雨(つゆ)はごく当たり前のものですよね。

しとしとと降り続く雨は、時には気分を憂鬱にさせ、時には農作物の生育に欠かせない恵みをもたらします。

この「梅雨」という言葉、一体どこから来て、なぜそう呼ばれるようになったのでしょうか。

今回は、この身近でありながらも奥深い梅雨という言葉のルーツをたどってみましょう。

梅雨の漢字と中国からの伝来

まず、「梅雨」という漢字表記について考えてみましょう。

この漢字は、日本で独自に生まれたものではありません。

実は、遠く中国から伝わってきたものです。中国では古くから、この時期の長雨を「梅雨」と表現していました。

その証拠に、唐代の詩人・杜甫の詩の中にも「梅雨」の記述が見られます。

日本に漢字が伝来するのと同時期に、この「梅雨」という言葉もまた、大陸から海を渡ってきたと考えられています。

では、なぜ中国で「梅」という漢字が使われるようになったのでしょうか。

ここには、主に二つの有力な説があります。

説その1:梅の実が熟す頃に降る雨だから

最も有力で、広く知られているのが「梅の実が熟す頃に降る雨」という説です。

梅雨の時期は、ちょうど青梅が収穫期を迎え、黄色く色づき始める頃と重なります。

中国でも日本でも、梅は古くから生活に密着した植物であり、食用や薬用として重宝されてきました。

この、梅が実りの時期を迎える頃に降る雨だからこそ、「梅雨」という言葉が生まれたというのです。

この説は、非常に納得しやすいものです。

人々は自然のリズム、特に植物の成長と降雨の時期を注意深く観察し、その結びつきから言葉を生み出してきました。

梅という、当時の人々にとって非常に身近で重要な作物の収穫期と結びつけることで、この特異な季節の雨を表現したのは、ごく自然なことと言えるでしょう。

説その2:カビが生えやすい時期だから

もう一つの説は、「カビ(黴)が生えやすい時期」に由来するというものです。

梅雨の時期は、高温多湿でじめじめとした気候が続きます。

これは、カビが繁殖するのに最適な環境です。

そのため、かつては「黴雨(ばいう)」と表記されていたものが、同音である「梅雨」に変化したという説です。

「黴」という漢字は、「雨」の下に「毎」と書きます。

「毎」には「いつも」という意味があり、「いつも雨が降る」時期にカビが生えやすい、という情景が目に浮かびます。

この説もまた、梅雨の気候的特徴をよく捉えており、非常に説得力があります。

特に、現代のように除湿機やエアコンがなかった時代の人々にとって、カビは生活に直結する大きな問題でした。

だからこそ、この季節の雨を「黴雨」と表現したのは、人々の生活に根ざした感覚だったのかもしれません。

「つゆ」という読み方の謎

漢字表記の「梅雨」は中国から伝わったものですが、私たちが普段口にする「つゆ」という読み方は、日本で独自に発展したものと考えられています。

この「つゆ」という読み方にも、いくつかの語源説があります。

説その1:露(つゆ)が降りるようにしとしと降る雨だから

一つは、「露(つゆ)」に由来するという説です。

梅雨の雨は、激しく降る雷雨とは異なり、しとしとと静かに降り続くことが多いです。

まるで夜露が降りるかのように、細く長く降る雨の様子を表しているというのです。

日本の四季折々の情景に寄り添い、繊細な表現を用いる日本語らしい語源と言えるでしょう。

説その2:物が腐ることを意味する「潰ゆ(つゆ)」から

もう一つは、古語の「潰ゆ(つゆ)」に由来するという説です。

「潰ゆ」には「腐る」「滅びる」といった意味があります。

梅雨の時期は、高温多湿のために食べ物や衣服などが傷みやすく、カビが生えやすいだけでなく、腐敗も進みやすい季節です。

この、物が傷みやすい時期の雨を「潰ゆ」と表現し、それが転じて「つゆ」となったという考え方です。

この説は、漢字の「黴雨」説と通じる部分があり、梅雨のネガティブな側面を強く反映していると言えるでしょう。

当時の人々にとって、食料の腐敗は飢餓に直結する深刻な問題でしたから、このような表現が生まれたとしても不思議ではありません。

梅雨がもたらすもの:恵みと憂鬱

このように、梅雨という言葉には、梅の実りという恵みと、カビや腐敗といった憂鬱、両方の側面が込められていることがわかります。

そして、それはまさに梅雨という季節そのものの多様性を表していると言えるでしょう。

梅雨は、確かにじめじめとして気分が沈みがちになったり、洗濯物が乾かなくて困ったりすることもあります。

しかし、一方で、この雨がなければ、日本の豊かな米作は成り立ちません。

水不足は深刻な問題となり、私たちの食生活に大きな影響を及ぼすでしょう。

また、草木は潤い、生命が躍動する時期でもあります。

しっとりとした雨上がりの緑は、息をのむほど美しいものです。

まとめ

「どうして梅雨って言うの?」という素朴な問いから、私たちは言葉の奥深さ、そしてそこに込められた先人たちの知恵と観察眼を垣間見ることができました。

梅の収穫という自然の営み、カビという生活の困りごと、そしてしとしと降る雨の情景や物の腐敗という現実。

これら全てが複合的に絡み合い、「梅雨」という言葉が生まれ、今に伝わっているのです。

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